テストマーケティングから商談・受注まで、シンガポール市場への販路開拓を伴走
日本の食品を海外市場で販売するためには、「日本で売れている商品」をそのまま持ち込むだけでは十分ではありません。
現地の食習慣や嗜好、価格感、販売チャネル、商品の見せ方までを理解し、その市場で受け入れられる形へローカライズすることが重要です。
今回は、2025年度、大分市の「マーケットイン型商品販路開拓挑戦事業」において、地域の食品事業者の商品をシンガポール市場でテストマーケティングし、現地商談から実際の受注につなげた事例をご紹介します。
STEP 01
「日本で売れる商品」から「シンガポールで売れる商品」へ
最初に行ったのは、商品の選定とマーケットインの視点からのブラッシュアップです。
今回のプロジェクトでは、単純に「大分らしい商品」を選ぶのではなく、シンガポールの消費者の嗜好や食習慣、販売チャネルとの相性を踏まえて商品を絞り込みました。
例えば、調味料メーカーT社では、数ある商品の中から、かぼすポン酢、大根おろしポン酢、椎茸ドレッシング、ごまダレ、にんじんドレッシング、ヤンニョムソースなどを選定。
さらに、現地での使い勝手を考え、内容量を日本での150mlから300mlへ変更するなど、シンガポール市場を意識した調整も行いました。
また、老舗茶問屋W社においては、世界的な抹茶需要の高まりを踏まえ、抹茶だけに頼るのではなく、価格面や味わい、用途の広さを考慮して「粉末茶」を営業の軸として提案しました。
海外進出では、「何を売るか」の前に、「現地で何が求められているか」を考える。
これが、Alchemistが重視するマーケットインの考え方です。
STEP 02
現地で実際に食べてもらい、消費者の反応を検証
2025年11月末の2週間、シンガポールのFish Mart SAKURAYAのWest Coast Plaza店とAnchorpoint店の2店舗で「大分フェア」を開催しました。
小売店での商品販売だけではなく、併設レストランでも大分の商品を使った期間限定メニューを開発。
例えば、
- かぼすポン酢 × たこぶつ
- 大根おろしポン酢 × 鮪たたきカルパッチョ
- ごまダレ × 豚と絹さやの胡麻和え
- 椎茸ドレッシング × きのこバター
- ヤンニョムソース × チキン唐揚げ
- 業務用粉末茶 × 緑茶ロブスター巻き
- ゆず蜜 × ゆずハニーソーダ
など、日本の商品をそのまま販売するのではなく、現地の食卓やレストランで「どう使えるか」まで含めて提案しました。
この取り組みによって、消費者は商品の味や使い方を実際に体験することができます。
SAKURAYAからも、フェアメニューで商品を知ったことがスーパーでの購入につながるなど、ダイニングと小売の相乗効果があったとの評価をいただきました。


STEP 03
「売れた・売れなかった」だけではなく、現地の声を次の戦略へ
テストマーケティングで得られたのは、販売実績だけではありません。
実際の消費者の反応から、商品ごとに「なぜ売れたのか」「なぜ売れなかったのか」を検証しました。
例えば、ゆずはシンガポールですでに認知度が高く、ゆずフレーバーへの親和性も高いことから、ゆず甘酒はプロモーション2日目に完売。
大根おろしポン酢も、現地ですでに馴染みのあるポン酢カテゴリーだったことから、購入につながり、こちらもプロモーション2日目に完売しました。
一方、抹茶については、「抹茶ブーム=高品質な抹茶が売れる」と単純には考えられない結果も得られました。
店頭での試飲では、砂糖入りの「グリーンティー」よりも「粉末茶」の評価が高く、SAKURAYAの顧客層では高価な抹茶よりも、日常的に使いやすい粉末茶への支持が集まりました。
また、商品の賞味期限についても、シンガポールでは「賞味期限=消費期限」と捉えられるケースが多く、短い賞味期限が購入の障壁になることが確認されました。
こうした現地でしか得られない一次情報こそ、海外展開における大きな財産になります。

STEP 04
テスト販売で終わらせず、現地バイヤーとの商談へ
テストマーケティングと並行して、現地の小売・卸・飲食企業などを対象に、バイヤー訪問型の商談を実施しました。
Alchemistでは、各企業の商品特性に合わせて商談先候補を選定。渡航直前まで根気強くアポイント調整を行った結果、それぞれの企業について、本事業で設定されていた目標商談件数5件を達成しました。
日本食卸、健康食品企業、EC事業者、カフェ、日本茶・抹茶関連企業など、「その商品を必要としている可能性が高い相手」へピンポイントでアプローチすることで、通常の商談会に比べ、密で有意義な情報交換の場となりました。


STEP 05
商談は「ゴール」ではなく、販路開拓のスタート
海外販路開拓では、商談をしただけですぐに発注が決まるケースばかりではありません。
そこでAlchemistでは、商談後も現地企業とのコミュニケーションを継続。
見積書の送付、商品情報の英訳、サンプル提供、輸入方法の確認など、案件ごとに必要なフォローアップを行いました。
その結果、2026年1月末時点で、
W社
現地日本食卸を通じて、抹茶数10㎏の正式発注につながりました。
さらに現地の人気カフェとは、抹茶・ほうじ茶について商談を継続しています。
M社
別の人気カフェにて、業務用ゆず蜜を月1~1.5ケース発注する可能性について検討が進みました。
T社
諸事情により渡航・商談ができませんでしたが、代替策としてAlchemistが2か月間、現地での営業代行を実施。現地に根差すAlchemistだからこそ、このような臨機応変な対応も可能です。
その後、日系百貨店から椎茸ドレッシングと梅ドレッシングの受注につながり、現地卸を通じて発注に向けた調整を進めています。
Alchemistが提供したのは、「商談の機会」だけではありません
今回のプロジェクトでは、商品選定からテストマーケティング、販促、商談、そして商談後のフォローアップまで、一連のプロセスをシンガポール現地で支援しました。
現地スタッフによる商品情報の英訳やPOP制作、店頭PR、商談アポイントの調整、商談同行など、実務面も含めてサポートしています。
さらに、食に強い現地インフルエンサーを起用したPR投稿や、Alchemistが保有する消費者コミュニティ「Spoonful」を活用し、約2,000件のメールマガジンを配信。現地での認知拡大にも取り組みました。
Alchemistの「販路開拓支援」
シンガポールには多くの日本食レストランや日本食品がすでに存在しています。
だからこそ、「日本の商品だから売れる」という時代ではありません。
現地の消費者にとって、
なぜこの商品なのか。
どう使うのか。
いくらなら買いたいのか。
どの売り場なら手に取るのか。
そこまで考え、現地の市場に合わせて提案していくことが重要です。
今回の事例でも、現地の消費者の声から商品・ネーミング・容量・賞味期限・使い方を見直し、その結果を次の商談へつなげるという、マーケットイン型の販路開拓を実践しました。
そして、商談後のフォローアップを重ねることで、実際の発注につながるケースも生まれています。
Alchemistは、単に「日本企業とシンガポール企業をつなぐ」だけではありません。
市場を知り、商品を知り、現地の声を集め、売れる形を一緒につくり、販路が定着するまで伴走する。
それが、私たちAlchemistが行う海外販路開拓支援です。
Explore the Singapore Market with Us.
シンガポールを起点に、東南アジア市場への販路開拓をご検討の自治体、企業様へ。
Alchemistでは、食品・飲料を中心に、シンガポール現地での市場調査、商品選定、テストマーケティング、販促、商談アポイント、営業代行、商談後のフォローアップまで、企業様のステージに合わせた支援を行っています。
「シンガポールで自社の商品が売れるのか知りたい」
「まずはテストマーケティングから始めたい」
「現地のバイヤーと商談したい」
「商談後の営業まで現地で任せたい」
そんな企業様の海外展開を、シンガポール現地からサポートします。

